こんにちは、Tomoです。
Amazon primeにて映画『夏へのトンネル、さよならの出口』が公開されていたため、そちらを鑑賞しました!
個人的にとても感動した作品だったので、感想を書いていきたいと思います。
今回は芸能人の方の内容ではありませんが、箸休めとして楽しんでいただければ幸いです。
もくじ
あらすじ
出典:Amazon
地元の高校生塔野カオル(以下塔野)が夏の雨の日に駅で花城あんず(以下花城)に出会う。
そこで塔野がびしょ濡れになっている花城に傘を貸すことを提案する。花城はいやいやながらも彼から傘を借りる。
傘を返却するために連絡先を交換する二人だが、翌日塔野の学校に東京からの転校生として、花城が現れる。
お互いに驚くが、花城は傘を返却することをその場で約束する。
ある日酔った父に殴られ、家から逃げ出した塔野はたまたま【トンネル】を見つける。
そこで亡くなったはずの妹カレンの靴を見つけ、持ち帰ると一週間経っていたことを知る。
もう一度カレンに会えるのではないかと考えた塔野はまたトンネルの中に向かう。たまたまその後をついてきていた花城とトンネル内で鉢合わせする。
トンネル内と外で時間の流れが違うことに気づいた二人は、ここが噂の【ウラシマトンネル】であると仮定し、それぞれの手に入れたいもののために、トンネルの謎を【共同戦線】という形で探っていく。
※以下ネタバレを含みます。内容を知りたくない方は本編をご覧ください。
【ウラシマトンネル】
冒頭女子二人の噂:「鳥居をくぐるとなんでも欲しいものが手に入る。その代わりに100歳年をとってしまう」
共同戦線
出典:MOVIE 映画
〈ウラシマトンネルに入ると欲しいものが手に入る〉ということを目的に、トンネルの内部を調査する二人。
それぞれが手に入れたいもののためにお互いが協力してウラシマトンネルの中に何度も入ることで、徐々にその特徴がわかっていきます。
そして、放課後に秘密を共有し同じ時間を過ごすことで二人の距離は徐々に縮まっていきます。
検証結果
実験(自分たちの足と携帯の機能を駆使)と検証をしていく中でウラシマトンネルの特徴がわかっていきます。
- トンネル内の3秒=外の時間の2時間→1時間いたら100日→1日いたら6年半
- 電話は鳥居の中では通じない
- メールは使えるが時間の経過はトンネル内外と同じ
- トンネル内⇔トンネル内ではメールは送れない
- 出口はない→出るためには入り口に戻る必要がある
- トンネルの中のものは外に持っていくことができる(カレンの靴、死んだはずのインコ、父に破り捨てられた漫画)
主人公二人の家庭環境
お互いに家庭環境が複雑な状況で、それが、それぞれの手に入れたいものの動機につながってくると考えます。
塔野カオル(声:鈴鹿央士)
出典:アニメイトタイムズ
現在は父と二人暮らしの塔野。この環境になってしまったのは、妹カレンの死がきっかけとなっています。
大好きな妹カレンとの些細なケンカがきっかけで、仲直りをしようとカブトムシを取りに行ったカレンが木から落下して死んでしまったことを今でも自分のせいだと責める塔野。
酒に酔った父からも「お前さえいなければ!カレンを返してくれ!」と罵倒されてしまいます。
カレンがいなくなったことによって崩壊してしまった家族を、もう一度昔の仲の良かった時のように戻したい塔野は、カレンとまた一緒に暮らせることを切に願っています。
花城あんず(声:飯豊まりえ)
現在叔父の使っていたマンションの一室を借りて一人暮らし。
小さい頃、漫画家である祖父に憧れていた花城は、自分の描いた漫画を祖父に見せた時に褒めてもらったことがとても思い出に残っていました。
しかし、成長するにつれ漫画家として売れなかった祖父の現実を知り、両親からも除け者にされた祖父のことが悔しかったため、漫画家を続けたい花城は、平凡な才能しかない自分には五万といる他の作家に負けない特別な才能を欲しがります。
東京から地方に送られたことも、両親が漫画を描けない環境にさせるものと考えています。
それぞれが手に入れたいもの
塔野:妹のカレン(過去から進めない)
出典:X.com
カレンが生き返ればまた元の生活ができると考えている塔野はトンネルの外にカレン本人を持ち帰ることを決意します。
それはつまり、カレンの死という過去の事実にずっと囚われ続けていて、先のことを考えられない状態になっているものと考えられます。
花城:漫画家として認められるための特別な才能(未来に踏み出せない)

高校生になった今も漫画を描いていますが、それを出版社に持っていく勇気がなかなか出ません。
それは、売れないながらもずっと漫画を描き続けた祖父の姿が現実として強く立ちはだかっているからだと思います。
自分の描く理想の未来が明確にありながら、そこに一歩踏み出すことのできない花城の自信の拠り所とするものが、他社よりも優れた才能なのかもしれません。
ウラシマトンネルの真相
欲しいものがなんでも手に入る場所
過去に失ったものが手に入る場所
何度もトンネル内に足を踏み入れそこで時間を過ごした塔野は、ウラシマトンネルの実態が上記であると確証を得ます。
→才能を願う花城が手に入れたものが、過去に捨てられた自分の漫画であることからも未来のことはないと考えたのでしょう。
そこで花城の願いが叶うことがないと悟った塔野は、編集者から声がかかった未来ある花城を巻き込む訳にはいかないと考え、
共同戦線と言いながらも、自分一人でトンネル内に入ることをメールのみで伝え、いつ会えるともしれないカレンを探しにいきます。
ここが見ててとても辛くなるシーンでした。
せっかく現実世界でも関係性が深まっていったのに、急に何も言わずに行ってしまう塔野に対し、花城はメールで「なぜ自分だけを残していくのか」と何度も送ります。

しかし、その返事は全く返ってきません。
これほど空しく、途方に暮れることもないだろうなと感じました。

出典:アニメージュプラス
他方、カレンを探して彷徨っていた塔野は、トンネルの奥で光る扉を見つけ中に入ると生きていた当時のカレンがいました。
久々に生きているカレンに会えて喜ぶ塔野でしたが、捨てたはずの携帯が机の上で鳴っていることに気づき、自分が本当に大切にしたいものが何かということに気づきます。
ここは本当に涙が止まりませんでした。
やっと出会えたカレンにも「お兄ちゃんが大好きな人と一緒に過ごして欲しい」と背中を押され、やっと過去の呪縛から解放された塔野。
急いでトンネルの入り口に戻りますがそこで気を失ってしまいます。
出典:Movie Walker
現実世界取り残された花城は、漫画家として人生を歩んでいくも、塔野のことを忘れることができず、人生の節目節目で見られるともわからないメールを塔野に送り続けます。
ついには、漫画を描き続けることもできないほどに疲弊してしまいます。
それでも一途に塔野のことを思い続ける花城のひたむきさに、とても胸が締め付けられました。
そして、花城は仕事ができなくなり時間ができたとき、二人が初めて出会った駅にいきます。
昔のことを思い出して涙する花城のカバンから鳴らないはずの携帯の着信が。
急いでウラシマトンネルに向かう花城はトンネル内で倒れた塔野を見つけます。
そこで二人は現実世界の時間で十二年越しに会うことができたのでした。
そして二人でトンネルを出ると外は秋の景色に変わっていました。
タイトルの意味するところとは?
「夏へのトンネル」

「夏へのトンネル」とは夏という入り口から連想すると、この映画内では「始まり」を意味しており、カレンの命日が8/2であること、その日を作戦決行の日にしたことを考えると、塔野の過去との決別のスタートのタイミングとも取れるのではないでしょうか?
また花城との出会いと二人で一緒にトンネルを出た時の季節が秋だったことから、「夏」という季節が二人の関係を深める時間になったとも考えられます。
またタイトル後半の「出口」に対して「トンネル」が対比的に入り口を示していると思われます。
「さよならの出口」

ウラシマトンネルには検証の結果出口がないことがわかっていました。
入り口と出口が同じなのになぜ「さよなら」なのか?
それはこの出口のないトンネルが、現実世界での塔野の家を表しており、塔野のカレンに執着する心の有り様を表しているからだと思いました。
塔野はカレンと現実世界での別れ=死の際と、トンネル内での別れ=執着からの解放の際に、同じ言葉で送り出されています。
カレンとケンカして出て行った塔野へのカレンの言葉
A「お兄ちゃんなんて大っ嫌い!いってらっしゃい!」
花城に会いにいくことを決めた塔野へのカレンの言葉
B「お兄ちゃん大好き!いってらっしゃい!」
どちらも語尾が「いってらっしゃい!」となっていますが、その前のカレンの気持ちが180度違います。
そしてこれを言われた塔野の心境も、Aの時ではトンネルに入る動機となっていますが、Bの方ではトンネルを出る動機となっています。
このことから、【さよならの相手はカレン】なのではないかと考えます。
まとめ
以上のことから、この物語では、前を向いて進む花城に影響を受けた塔野が、カレンの死と向き合い、過去に囚われた自分と決別するというストーリー性があったと考えました。
共同戦線を進めていく中で、始めは笑顔が見られなかった塔野も、花城と一緒に過ごす時間の中で自然と笑顔が増えていきました。
誰かの笑顔を見ることはこちらの気持ちもとてもハッピーになりますね!
十代を通り過ぎて久しいですが、こんな気持ちになれる相手に巡り会えたらどんなに素敵だろうと思える映画でした。
また心が動かされる何かに出会えたらみなさまにご紹介したいと思います!
ここまでご覧いただきましてありがとうございました!
Tomo
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